相続財産管理人と国庫帰属についてのQ&A
相続財産管理人を立てた場合で、遺産が国庫帰属されるのはどういった場合ですか?
相続人がおらず、かつ、相続債権者や受遺者への弁済、特別縁故者への分与後、さらに残余財産が存在する場合に限り、遺産は、国庫に帰属します。
相続債権者とは、亡くなった方(被相続人といいます)に対して、何らかの債権を有している人をいいます。
受遺者とは、遺言によって、財産を渡された相続人以外の人をいいます。
また、特別縁故者とは、被相続人の介護を続けてきたなど、特別な間柄にあったものをいいます。
なお、年間に国庫帰属する遺産は、2017年度では約500億円です。
相続財産管理人を立てたとしても、価値のない不動産は国庫帰属せず、相続放棄をした人がずっと管理すると聞いたのですが、本当ですか?
以前は、価値のない不動産は国庫に帰属しないという運用がされていましたが、現在は、価値のない不動産であっても、最終的に国庫に帰属することになりました。
そのため、相続放棄をした人が、土地をいつまでも管理する必要はありません。
また、現在は引き取り手がいないような土地についても、国に帰属させるようにする制度改革が進められておりますので、今後は、柔軟に不動産を国庫に帰属させることができるかもしれません。
不動産に被相続人と私の名義が2分の1ずつの割合で入っているのですが、相続財産管理人を立てた場合、被相続人の名義はどうなりますか?
特別縁故者への分与が終わった後は、被相続人の共有持分は、他の共有者に帰属することになります(民法255条)。
そもそも、名義が2人以上で分かれている状態を共有といい、その持分を共有持分と言います。
今回のケースですと、被相続人の2分の1の共有持分について、特別縁故者への財産分与が終わった後は、他の共有者へと帰属することになります。
そのため、最終的には、当該不動産が、他の共有者の単独名義になるかもしれません。
なお、実務的には、共有者が被相続人の共有持分を買い取るという運用がされる場合もあります。
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