寄与分が認められた場合の計算について
1 寄与分が認められた場合の扱い
特定の相続人が、通常期待される程度を超えて、被相続人の財産の維持や形成に貢献した場合には、寄与分が認められます。
それでは、寄与分が認められた場合には、どのように遺産分割に反映されるのでしょうか。
寄与分が認められた相続人の具体的相続分については、①相続財産全体のうちの一定割合を寄与分とする方法、②一定の金額を寄与分とする方法、③相続財産のうちの特定の財産を寄与分とする方法があります。
どのような評価方法が採られるかについては、個々の寄与行為の態様によるといえるでしょう。
これについては多様な判断が示されており、たとえば、家業についての貢献があったとされた事例について、遺産全体の何パーセントという判断をした原審判に対して、家業と関係のある特定の財産の何パーセントという判断をした高裁決定もあります。
療養看護型の寄与分についても、上記の特定の評価方法が採られているわけではなく、遺産の何パーセントと判断されるものであったり、1日あたりの金額に稼働日数をかけた金額としたものであったりという例があります。
2 寄与分が認められた場合の計算の例
遺産が1000万円あって、妻と子ども2人が相続人であるケースで、妻にのみ寄与分200万円が認められたという例で、寄与分が認められた場合の具体的相続分の計算方法を説明します。
まずは、遺産から寄与分が認められた額を控除します。
1000万円-200万円=800万円
次に、これをそれぞれの法定相続分(妻2分の1、子4分の1)で分割します。
妻:800万円×2分の1=400万円
子①:800万円×4分の1=200万円
子②:800万円×4分の1=200万円
最後に、寄与分が認められた妻に寄与分を加算します。
妻:400万円+200万円=600万円
子①: 200万円
子②: 200万円
このようにして計算された額が、それぞれの相続人の具体的相続分となります。
専門家に相続手続きを依頼する場合にかかる費用 保釈時の身元引受人